私は、幼少より占いだけでなく、魔術・呪術の類にも興味を持ち、書籍を収集してまいりました。
今日は、占いではなく魔術についてお話しようと思います。
初回ですので、「魔術とは何か」「魔術の特徴とは何か」について簡単にお話したいと思っております。
魔術とは何か
魔術というのは、科学的には解明されていない方法で対象に何らかの効果を及ぼす一連の術式であると考えます。
フィクション作品の中には「魔法」と「魔術」を区別しているものもありますが、根本的にこの二つは違いがないと思います。超常的・超自然的な作用を及ぼす術式全般を魔術(魔法でも良いのですが)と呼びます。
英語で言えば、魔術はMagic、Sorcery、Wizardry、Witchcraftにあたり、若干の意味、語感(イメージ)の違いはあるにせよ、要は同じ事を意味しています。(しかし、おそらく最もイメージを限定しない広範な魔術を指すものはMagicであり、当サイトのドメインにも利用しています)
黒魔術・白魔術とは
一般的に、白魔術、黒魔術という言葉があります。
白魔術は人に幸福をもたらす、もしくは黒魔術を防ぐ「善い魔術」であり、黒魔術は人に不幸をもたらすための「悪い魔術」であるというのが一般的な解釈です。
国民的なゲームであるファイナルファンタジーなどのRPGにおいて敵を攻撃するための「黒魔法」と味方を回復するための「白魔法」というものが一般化したので、「黒魔術」と「白魔術」が存在すると思っている方も多いのではないでしょうか。
が、実は魔術には黒も白もありません。
魔術は科学技術のようなもので、人を殺す使い方もあれば、人を救う使い方もあります。それは、魔術師(術者)の使い方次第で会って、実は黒魔術・白魔術とはっきり区分されたのは、かなり近代になってから(一般的に、魔術や魔法が信じられなくなってから)だとも言われています。
ただ、実際には「どう考えても悪い目的でしか使えないだろう」という魔術も多いですので、魔術を概観するに「そもそも魔術とは攻撃に用いるほうが多い(一般的にいう黒魔術の方が多い)」とは言えると思います。
魔術の種類(区分)
魔術には白・黒という善悪の区分ではなく、どういった原理の魔術か、という区分が存在します。
これは、人類学者ジェームズ・フレイザーが様々な民族の魔術・呪術を分析して考えた区分です。
その区分とは、「類感魔術」「感染魔術」です。
魔術は多種多様、おそらく古今東西で10,000を超える術式があるはずですが、その多くがこの2つに集約できます。
類感魔術と感染魔術
まず、類感魔術というのは、「類似の法則」とよばれる法則に基づいた魔術です。
類似の法則とは、「Aに類似したBへの影響は、Aにも及ぶ」という法則です。
分かりづらいので実例で行きましょう。いわゆる「呪いのわら人形」がまさにこの例の代表となります。
つまり、あなたに似せて作られた「わら人形」を五寸釘で刺すことで、あなた自身を傷つけるというのがこの類似の法則の一番わかりやすい例です。
この場合、「A=あなた」に類似した「B=わら人形」への影響が、「A=あなた」にも及ぶということになります。
これが類似の法則を利用した類感魔術になります。
もう一つの感染魔術は、「感染の法則」に基づいた魔術です。
感染の法則とは、「『過去にAの一部だった』『過去にAと接触した』Bへの影響は、Aにも及ぶ」という法則です。
これはもっと分かりにくいので、実例で行きましょう。
過去にあなたの一部だった「髪の毛」を燃やすことで、あなたを苦しめるのがこの魔術の代表例です。「過去に接触した」という意味では、バヌアツ諸島の先住民や、オーストラリアの先住民に、かつて敵が使っていた衣服や敷物を燃やすことにより、相手を呪う呪術が存在します。
気づいた方もいるかもしれませんが、この類感魔術と感染魔術は組み合わせられます。
呪いのわら人形にあなたの髪の毛を入れ込んで五寸釘で刺す手法は、まさに類感魔術と感染魔術の組み合わせであり、非常に強力な魔術だと言えます。
魔術まとめ
今回は、魔術の基本について書いてきました。
次からは実際の魔術について書いていくつもりですが、現代では再現が難しい魔術も多数存在します。
特にヨーロッパ(西洋)の魔術には、「カエルの生皮を自分ではいで用意せよ」とか「死者の頭蓋骨を用意せよ」とか「犯罪者の手を用意せよ」とか現在では困難極まりない条件が多いです。
ですので、西洋の魔術を紹介していくというよりは、東洋のおまじないや魔術の紹介になる可能性が高いので、その点はご了承ください。
本日は魔術の基本についてお話しました。お読みいただき、ありがとうございました。
紫聖